=ナルビク
「マキシミン遅いなぁ・・。もしかしてまた寝坊してるんじゃ・・!」
マキシミンの寝坊癖は相変わらず。最近何か腹の立つ事が多いのかどうも
空回りが続き仕事の任務は失敗の連続。
お陰で報酬が全く入らずお互い腹も空いてて更にご機嫌斜めな二人。
「あと5分で来なかったら一発ガツンと言ってやる・・!」
「ほぉ。誰に一発ガツンと?」
「・・!」
後ろを振り返るイスピン。そこには贅沢な事にも菓子パン美味しそうに食べ
冷たく棲んだブドウジュースを飲んでる。
「あーー!!ちょっと僕にも分けてよ!」
「ククク、やるわけにはいかねぇな」
「どうしてよ。僕がお腹空かしてるのも君のせいだなのに。そもそもどうして
そんな食料手に入れたわけ!?」
「俺にも運の付きが向いたらしい。さっき宿屋の残飯が捨てられてる所に袋で閉じられた
綺麗な食料が捨てられててな。」
「・・・。あ、やっぱいいや。」
そりゃあんな事言われたら急にさっきまで高級食材と勘違いする程輝いてた食料が
急にハエが集ってる生ゴミの食料に見えたからだ。
それを別に抵抗なしで食べてるマキシミンは何処か凄い。
「ほら、今日こそ任務を成功させてお金を稼がないといけないよ!」
「ったく。しょうがねぇな」
何がしょうがないんだ。マキシミン。
==シャドウ&アッシュ
今回も例によってルベリエ直々の任務説明。
どんな任務内容か興味津々のイスピンと
菓子パンの味に興味津々のマキシミン。
「今回君達に依頼することは一つだ。またドッペルゲンガーの森に行ってもらう」
「・・・モイ、ルベルエ。マハカ、モタPKERヲタフォヘと、イウモカ?
(通訳;おい、ルベリエ。まさかまたPKERを倒せと言うのか?)」
「マキシミン。食べながら言わない。」
「前回のゼロレリとはまた違うのだが・・・。ただPKしないといけないのは前回と同じだ」
「・・・またあの恐怖と緊張の森に行かないといけないのね・・・」
ガックリとうな垂れるイスピン。
「やれやれ。また俺のDOPと会うことになるのか。
前回の悪者の俺と会ってからあんまり行く気が失せるんだよな・・・(影の君の話題参照)」
「安心しろ。マナは均等に保たれてる。本来のDOPの姿がいるだろう。
今回植木作業は頼まん。貴様に頼むと最悪な事態が起こるからな」
「悪かったな」
「本当のことだけどね」
更にイスピンが追い討ちをかけるからマキシミンがつい殴りそうになる。
「それで、今回誰を倒さなきゃいけないんだ?」
「名前はわかっていない。二人いる。ただしモンスターにも近い敵だ」
モンスターか。っていうことは人じゃないのであれば楽に倒せそうだな・・
っとそんなことを考えていた二人だが・・。
「一人はペットの種類だとわかった」
「・・・は?ペットの種類だ?」
「それって・・もしかしてクルノとかリブリオみたいな事ですか?」
「そうだ」
マキシミンは変わった任務を引き受けてややご機嫌っぽく笑い
イスピンは等々やっつけたくなかった種類の敵を倒すことになってしまい更にうな垂れる。
「それで、もう一体はどいつなんだ?」
マキシミンが聞く。
「不明だ」
「・・・・は?どういうことだよ」
「それは言葉の通り不明っていう意味だよ。マキシミン」
「あのなぁ・・」
取っ組み合いが始まる前にルベリエは続けた
「DOPの森に入ればわかる。つい最近領地内に小屋を作った覇者らしい。
気をつけてかかれ。報酬は100K(10万)だ」
「・・・!!」
二人して急に真顔になる。
確かにすごい大金の上に資金難に飢えていたためにお互いすごい気合が入っていた。
「うっしゃ、やってやるか」
「僕も今回は本気にならないとね」
「では、幸運を祈る。」
二人は武器と防具を身につけ颯爽とドッペルの森へと走っていった。
==ドッペルゲンガーの森
また来てしまったか・・・。
そう考えてる二人。
報酬が普通だったら少々気合は既に落ちている所だが何たって10万。
まだまだ気合は十分な二人
「よっし、突撃するぞ!!」
「わかった」
ポータルに入り領内に侵入する。
まず中に入ってその小屋とかのを探さないといけない。
ただ中は妙な空気に包まれていた。
「・・・?ねぇマキシミン。何か変な感じしない?」
「ふむ・・。なんだろうな・・。妙にすごい威圧感を感じるぞ・・。
でも別に平気だろ。」
そういうとマキシミンがシルフウィンドをかけようとした・・・が。
「・・・!?あ、あれ!?なぜだ!?シルフウィンドが発動しねぇぞ!」
「もしかして・・。この異様な威圧感って・・」
「伝説の過重EMPか・・?」
過重EMPとはエリアの中にあるEMPが大量に存在しその力がでかいため
コントロールすることが難しく技が発動しない現象である。(もちゲーム内には存在しないが
「くっそ。だめだ。的中剣しか使えねぇ」
「要するに魔法関係は全く使えそうもないかもね」
「物理勝負だな・・。いっちょいくか。」
二人で領内を探索しはじめた。
その時何か懐かしい人物がいた気がした。
「・・・うげ!!あいつ・・ゼロレリじゃねぇか!?」
「・・・げ、本当に・・?」
ソノ瞬間。ゼロレリと目があった
「・・・!!き、貴様は・・!!いつしかの眼鏡と赤い奴!!」
「眼鏡って何だぁ?あん?」
「あ、赤い奴・・。と、とにかくマキシミン!逃げるよ!!」
「ったく、しょうがねぇなぁ・・」
二回目のしょうがない発言。
「死ぬのが怖いのか?恥知らずのヤツメ」
「あん?」
「ほら、同じ挑発に乗らない!!」
イスピンが強引に腕を引っ張っる。
渋々マキシミンも逃げる。
なんとか振り切った二人だが・・・。
「何で毎回あいつ出てくるんだ・・。腐れ縁すぎる・・・」
「ゼロレリがいるんじゃ話しは変わってきそうだよ・・」
「報酬あげてもらわないとな。」
二人はそのまま警戒して走り続けた
しかし・・・。
「だああ、疲れた!!もうどっかで休もうぜ」
「ダメだよ。マキシミン。この仕事を終わらせないと借金の金利今日増えるよ」
痛いところをつかれた。
確かにそろそろ金利が増える時期だ。
「疲れが貯まっちゃ仕事もおわらねぇよ。
ほら、あそこに木の家があるじゃねぇか。そこで休もうぜ」
シルフウィンドがないマキシミンは意外とスタミナがない。
「う〜ん・・・。しょうがないなぁ。10分だけ休憩しようか」
「そうとなれば、さっさと入るか」
二人は木の家えと近づいていった。
「・・・・?なぁ。俺ふと思ったんだけどさ」
「何?」
「この木の家・・。言い換えれば・・・
小屋
じゃね?」
「・・・・」
「・・・・」
急にお互いの顔を見詰め合ってハッとする。
ガタン
「・・!!」
「敵!?」
突然小屋から誰かが出てきた。
あれは・・・ジェスターだ。何かのペットってのはコイツに違いない。
「必殺、大激連!!」
いきなり長い長剣を振り回して襲い掛かってきた!
しかも剣が赤く炎の属性が宿っている。
「うわっ!!なんだ!?あのDOPは!?刀に炎が宿ってるぞ!」
「マキシミン!この敵は普通じゃないよ!気を引き締めて!」
「言われなくてもわかっとるわ!!五花月光斬!!」
そもそもDOPと勘違いしているこの二人。
その時誰かの声が聞こえた。
「そう来ると思いましたよ。今です、落とし穴!!」
「ぎえっ!!」
ドスン
「マキシミン!」
「タックル」
「わわっ!」
ドスン
「うぎええっ、どけ!体重114s!!」
「鎧の重さ含めて言わない!」
しばらくマキシミンは痛みでその場でうずくまって堪えていた。
「く、くそ・・・!!なんだ、あの敵は!!強すぎるぞ!」
「確かに報酬が10万なだけあるね・・」
「とにかく・・。ここを登らないとな」
痛みを堪えながら崖を登る二人。
上りきった頃にはスッカリ夕日が見えていた。
「リベンジしないとな・・・。何か作戦が必要だ」
「僕にいい考えあるよ」
「ほぉ。ではお前に任せてみるか」
そういうとイスピンは赤い糸玉を取り出した。
「それは何だ?」
「炎の糸玉だよ。これは何かの衝撃を与えると爆発して炎が舞い上がるんだ
これをあの小屋に投げつければ・・!それっ!」
イスピンが高く炎の糸玉を上げ小屋にぶつけた。
ドンッ!!
炎が高くあがり小屋が燃え始めた!
「ぎゃー!一体何!?」
「こ、これは想定の範囲外です・・・」
「いまだ!攻めかかるぞ!!」
マキシミンがスチールシャドウを手に小屋に向かって突進していった。
小屋まで相当近づいた瞬間ジェスターが外に出た。
「喰らえ!!斬!!」
マキシミンがジェスターに向け会心の一撃を繰り出す!
「甘いよ〜。はじき返しっ!」
「うぐわっ!」
ジェスターが素手でマキシミンのスチールシャドウを止め
そのまま押し返した。
「そして再び落とし穴です!」
何か恐竜みたいなよくわからん生物が紐を引っ張った。
「また落とし穴かああああぁぁぁぁーーー・・・」
「マキシミンの仇!!」
イスピンがジェスターに向けて殺を繰り出した!
「もっと力を込めて相手を押し倒すように突くといいよ!」
ジェスターがイスピンの攻撃を回避しタックルした。
「わわっ!!」
「そして再び同じ落とし穴に落ちてもらいます!」
「わあああぁぁぁぁぁーーー・・・」
ドスン
「く、くっそ・・・。これでもダメなのか・・!」
「もう15mぐらいの深さから落ちたくない・・。こ、腰が痛い・・・」
その時上を見上げるとジェスターが立っていた。
「ねーねー。ファン。この人達まだ消えないよ」
「おかしいですね。DOPじゃないんでしょうか?」
「とりあえず火矢放り込んじゃえ!」
「(お、恐ろしい・・・)」
一見ホノボノとした会話だが二人にとっていい迷惑
「う、うわ!!っく。火矢なんか使いやがって。」
「マキシミン!このままだと危険だよ・・!」
登るにも恐らく絶対落とされるだろう。
万事休す・・・。そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
その時・・!
「・・・心!」
聞きなれた言葉が聞こえた。
誰かがクナイをジェスターに向けて投げつけた
「わわっ」
「そ、その声は・・レイさん!!」
「ルベリエから話しは聞いた。俺も加勢するぜ」
「・・あいつもいるぜ」
「何だ・・?俺はオマケ扱いか?」
シベリンとナヤトレイが加勢した。
今のうちにさっさと登ろう。
「う〜ん・・。流石の私でも四人は不利・・?」
「最後の?はなんですか。余裕じゃないですか。や、やってください。はい。」
一人コソコソ何処かに逃げ隠れてしまった。
「俺の槍法を喰らえ!連突き!」
シベリンがジェスターに向けて猛烈な速度で槍を振り回し襲い掛かった。
しかしジェスターが持っていた長剣で巧みに攻撃を防御する。
「そこだっ!」
シベリンが会心の一撃を繰り出した。
「甘いよ!はじき返し!」
ジェスターがシベリンの会心の一撃を容易くはじき返し
仕返しと言わんばかりに会心の一撃をシベリンに向けて攻撃した!
「影分身!!」
そうはさせない、とでも思ってるのだろうか。後ろから影分身を召喚し
ジェスターの攻撃を分身で身代わりになった。
分身は消えたがシベリンはダメージを受けずに済んだ。
「助かった。ナヤ」
「・・・前」
「へ?」
前を見たジェスターがもう攻撃を繰り出していた。
「くっ、こいつ・・・強いぞ・・」
「忍術・・爆!!」
ナヤが爆弾を取り出しジェスターに向けて投げつけた。
「私は投げ技も強いの。それっ!」
峰打ちで爆弾をはじき返し穴に落とす
「ぐほえああぁっ!!」
「あ、危なかった・・・」
マキシミンが爆発に巻き込まれイスピンがギリギリ上に上りきり回避した。
「ぐ、ぐおえああぉはpてゃ(火傷と痛みで奇声を発声)」
「今度は私の番!乱れ無月散水」
ジェスターが長剣を棒みたいに振り回し次々とシベリンとイスピンに段々攻撃を仕掛ける。
かろうじて二人でガード出来ている。
当たった場所から武器が削れて破片が桜の花びらになり散っていく。
「そしてフィニッシュ!!」
ジェスターが会心の一撃を出し一気に二人を切り抜き五花月光斬に近い技を繰り出した!
「うぐあっ!!」
「ぎゃぁ!!」
二人が床に倒れる。
「忍術・・!治療!」
「それ忍術じゃないと思いますよ」
後ろからファンが突っ込み+攻撃を繰り出した
「・・・ふんっ」
ナヤが軽々と回避しファンを吹き飛ばした
「全然だめでしたっ・・!ジェスターさん。後は任せました」
「任せて、それ!!」
ジェスターがレイに向けて次々と連続で剣で突き始める。
なんとか得意の回避で避けているがこのままでは体力の問題だ。
敵はこれっぽっちも疲れを見せていない。
「くっ・・。心!!」
クナイを投げつけ敵の隙を作ろうとした。
だが軽々と剣で弾かれすぐに攻撃に移ってしまう。
そうこうしてるうちにナヤのスタミナが限界を迎えてきた。
「こ、ここまで・・?」
「トドメ!!ファイナルアタック!!」
剣が赤く猛烈に光ナヤに向けて攻撃した・・・!!
「ふっ、俺様を忘れた瞬間貴様の敗北は決まった」
「・・・・!!」
後ろでマキシミンが天高く飛び上がっていた!
「死ね!!天空重力五花月光斬!!」
最大必殺技である五花月光斬に重力を加えて一気に切りつけた!!
ジェスターの肩や腹。腕に足など一気に負傷し
痛みが急激に襲ってきて苦しいのかその場で倒れた。
「あ・・う・・・う・・そ・・?私が・・負けた・・・?」
腹ばいにジェスターが倒れる。
「ククク。これで10万はいただいたな。トドメだ。死ね」
マキシミンがジェスターの心臓目掛けてスチールシャドウを振り下ろした。
「待って!マキシミン!!」
ピタッと寸前で止まる。
「なんだ?こいつ倒せば終わりだぜ?」
「もういいよ。マキシミン。このままにしておけば終わるよ。
せめてもう少しだけこの世界にいさせてあげて・・。」
「でもよ。苦しそうだしイッソ死なせた方がよくないか?」
非情な発言をするが一理ある。
ソノ瞬間!!
「スモークグレネード!!」
目の前からファンがスモークグレネードを投げつけた。
あたり一面急激に煙で覆われた。
「うわ、肝心な時に・・!!ゴホッ」
なんとか煙を追い払うとそこには既に誰もいなかった。
「・・・し、しまったあああ!!シトメ損ねた!!」
「まぁまぁ。マキシミン。もう放っておこう。放置しておこうぜ。お仲間さんもいたわけだ」
「・・ちっ、しょうがねぇな」
シベリンの説得に負けたか諦めるマキシミン。
「さぁ、シャドウ&アッシュに戻ろうか。」
「なんでお前が先頭を仕切ってるんだ」
「ほら、俺が来なかったらお前等負けてたし?」
「んだぁとぉ?」
すぐに喧嘩を始めた。
「ほらほら!喧嘩しない!任務は達成したんだから。」
「後で覚えてやがれ」
「・・はいはい」
「・・・馬鹿ばっか」
核心をついた突っ込みをするナヤ。
「ほら、今日は月が綺麗だぜ」
「あぁ、あの月で五花月光斬してみてぇな」
「・・・なんか変な例え方だな・・」
四人はナルビクへと向かって歩き出した。
途中から雑談が始まり笑いの絶えない時間が続いた。
やはり窮地から脱出すれば人はほっと安堵するものだ。
「ふむ。珍しく任務を成功させたか」
「俺様を舐めちゃ困るぜ。それじゃお約束の報酬をもらおうか。ククク」
「いやー・・。やっぱり10万は大きいからね。僕も楽しみだよ」
「う〜ん。マグノリアワインでしばらくお姉さんと飲めそうだな」
「・・・・・・」
「・・いや・・そのすまん。聞かなかったことにしてくれ。レイ・・・」
「・・・ん?何か勘違いしてるようだが、一人10万じゃないぞ」
「は?」
「え?」
「げ」
「・・・・(冷静」
「全部で10万。四人だから2.5万で分けろ」
「うげええええええぇぇぇ!!騙したなあああああ!!」
「俺は騙してなんかいないぞ。確認しなかったお前等が悪い。」
「くっそおおお!!借金返せないじゃねええかあああ!!」
マキシミン。痛恨の叫び
「僕は借金ないからしばらく生活できるからいいや」
「ハハハ・・。それじゃ俺はこれで戻るよ。またな」
そういうとシベリンとナヤは何処かに行った。
「イスピンーー!!頼む!!1万貸してくれ!!」
「だめだよ。マキシミン。ちゃんと人生の失敗ってのを味わってもらわないと」
「あん?何が人生の失敗だ!人生ってのは一つしかないんだぞ?」
「その一つしかないのを台無しにしてるんだから。」
その後二人の口論は続いたそうだ。
ソノ頃・・・深い傷を負ったジェスターと言えば・・。
ファン
「治療完了っと・・」
ジェスター
「く、苦しいよー・・」
ファン
「我慢してください」
普通に生きていた。ある意味無敵。